認知症患者の行方不明対策におすすめのグッズやサービスは?
アルツハイマー型認知症と診断された70代前半の男性は、半年前から徘徊の頻度が多くなったため靴の中にGPSを入れておき、その1足だけを玄関先に出しておいたそうです。ある日、妻が帰宅するといないことに気付き、スマホで居場所を確認。30メートルの誤差で見落とさないよう息子2人と一緒に本人を周囲から挟み込むように接近して、無事、保護されたといいます。
ほかにも、近年、認知症の行方不明者を早期に発見できるサービスとして広まりつつあるのが「どこシル伝言板」です。事前にQRコードが付いた耐洗シールや蓄光ラベルを衣服やかばんに付けておき、見かけた人がスマホで読み取ると、家族に発見場所と本人の健康状態が自動メールで送信される仕組みです。また発見者は、家族が迎えに来るまで専用の伝言板で家族と連絡を取ることができます。連絡は伝言板を通じて行われるので、両者共に個人情報は表示されません。現在、全国329の市区町村で導入されているので、お住まいの自治体に問い合わせてみるといいでしょう。
私が診ていた患者さんのうち、2人は行方不明になった後に遺体で発見されています。通常、徘徊の症状は半年前後で落ち着くといわれていますが、万が一に備え、事前に対策しておくことが大切です。
▽朝田隆(あさだ・たかし)1982年東京医科歯科大学医学部卒業、83年同大精神科、95年国立精神・神経センター武蔵病院、2001年筑波大学精神医学教授を経て、15年からメモリークリニックお茶の水院長、筑波大名誉教授、東京医科歯科大学特任教授を務める。