地域が整備すべき「アドバンスケアプランニング」とはなにか
世界的なACPの基本は、第1に「年齢や病期を問わず、成人患者さんが自身の価値観、生活の目標、今後の治療に対する意向を理解し共有することを支援するプロセス」です。そうです、患者さんの意向を支援するプロセスなのです。
第2に「その目的は、重篤な病気や慢性疾患の中で、人々が自身の価値観、目標、意向に沿った治療を受けられるように支援すること」です。ここがポイントです。地域には「さらに回復したい」と考える方がたくさんいるはずです。しかし、地域で整備するポイントは救急体制と看取り体制でよいと考えている行政と医師が多い現状があります。そうではなく、患者さんの価値観、目標、意向に沿った治療を受けられるように支援することが重要なのです。つまり、救急医療だけでなく、今より回復したいと考える患者さんを支援する体制が地域にも必要なのです。
しかし、この視点は救急治療を行う多忙な医師の盲点になります。そこで行政が頑張って、考える必要があるのです。
今年、福岡で開催される日本集中治療医学会学術集会では、その点に危機感を持ち、そこで、急性期集中治療後の回復とより良い人生を送るための英知集結の講演依頼があり、専門医共通講習(地域医療)でお話しする予定です。