糖尿病患者の運転時の低血糖リスクは持続血糖測定器で軽減する
「研究前に行った質問では、回答者26人のうち21人が低血糖を起こしたことがあり、11人が運転中に低血糖を経験しているとのことでした。研究後のCGM分析によると、研究期間中、全員が血糖値70未満の低血糖を経験しており、そのうち16人(59%)が54未満の低血糖でしたが、91%が無症状でした。さらに運転中では14人(52%)が70未満、1人が54未満の低血糖で、93%が無症状でした」(尾上講師)
研究では、低血糖の手前(血糖値80未満)でアラートを発するよう設定した。
「研究結果から、アラートありの期間では運転中の低血糖発生率が有意に低下しました。もともと低血糖リスクが高い1型糖尿病患者さんでは、運転以外の時間も含め低血糖の時間が有意に短縮されました」(尾上講師)
つまり、低血糖の手前でアラートが出ることで、必要に応じてブドウ糖摂取などをでき、低血糖を未然に防げたということだ。
「低血糖のリスクが高い糖尿病患者さんでは、運転前に甘いものを食べて血糖値を上げるという対策もあります。しかし患者さんにしてみれば、血糖値を下げる治療をしているのに逆のことをするのか、となる。運転中の無自覚性低血糖対策にCGMは有効だと考えています」(有馬教授)