首都圏地震で注目! 自転車・クルマ「シェアサービス」の使い勝手を徹底解説

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 10年ぶりに東京を直撃した今月7日の震度5強の地震は、夜間に発生した。午後10時41分で、首都圏のJRや私鉄の駅周辺には、帰りの足を奪われた人たちがタクシーやビジネスホテルを求めて右往左往。帰宅困難の人であふれ返った。そんな中、注目されているのが自転車やクルマのシェアサービスだ。

  ◇  ◇  ◇

「地震の日は、ドコモの自転車があって助かりました。友人と食事をした銀座から蒲田の自宅まで約15キロを歩くと4時間近くかかるはずですが、自転車で1時間ほどで帰れましたから」

 こう話すのは、広告会社に勤務する40代の男性だ。

「ドコモ」の自転車とはNTTドコモなどが自治体とともに運用する「ドコモ・バイクシェア」。東京では千代田、中央、港、新宿、文京、江東、品川、目黒、大田、渋谷、中野、練馬の12区で展開する。さらに横浜市や川崎市、仙台市、大阪市などに提供している。

 使い方は、スマホにアプリをダウンロードし、個人情報と決済手段を入力し、会員登録が完了。さらにSuicaやPASMOなどのICカードかスマホを紐づけておくと便利だ。自転車置き場・ポートにある自転車のサドル下にある機械にこれらをタッチすればロックを解除できる。あとは目的地のポートまで乗って、カギをかけて返却すればいい。ポートの場所は、アプリの地図を見れば分かる。

 料金は1回会員が基本料金ナシで、初乗り30分165円、以後30分ごとに110円。月額会員は基本料金2200円で、初乗り30分は何度でも無料で、30分を超えると30分ごとに110円だ。

 災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏が言う。

「シェアサイクルは、都市部を中心に広がっていて、近距離の移動に最適です。災害や事故などで公共交通機関がストップしたときには、とても役立ちますから、いま利用していない人もイザというときのために会員登録だけでもしておくといいでしょう」

 7日の地震の後、都心にある「ドコモ」のポートはほぼスッカラカン状態になった。帰宅困難の人が殺到し、自宅のある住宅地に向かったとみられている。

 スマホのアプリに映し出される地図には、各ポートの利用可能台数が示されるが、都心はほぼゼロで、住宅地に行くほど同心円状に数字が大きくなっていた。

 同様のサービスは「HELLO CYCLING」「PiPPA」「COGICOGI」などがあり、会員登録や使い方は基本的に同じ。エリアや料金が異なっている。

都心はドコモ、郊外はHELLOが便利

 実は、このエリアの違いがミソ。たとえば「ドコモ」で東京の場合、練馬区で登録した人は、練馬区内のみの利用に限られ、ほかの11区はその11区内での越境が可能だ。それでも、川崎や横浜への越境はできない。一方、「HELLO」は一度会員登録すれば、サービスエリアなら全国どこでも返却できるのがメリットだ。

 そこで、前出の40代男性が言う。

■新宿から浦和までチャリで帰ると…

「私は、会社も自宅もドコモが展開する11区に含まれるので、ドコモを利用していますが、会社の同僚のひとりは浦和に住んでいるのでHELLOユーザーです。地震があったときは、新宿から自宅までHELLOの自転車を利用し、1時間50分くらいで帰宅したと話していました」

 都心11区はポートも自転車の台数も「ドコモ」が圧倒的で、カバーする11区に自宅や会社があるなら「ドコモ」が断然使い勝手がいい。自宅や会社が「ドコモ」の“守備範囲外”なら「HELLO」が便利だろう。「HELLO」の料金は15分70円だから、浦和までの利用料は560円の計算だ。

 いずれにしても、7日のような帰宅困難状態のときは、どのサービスの自転車も争奪戦。アプリで最寄りのポートを探して、利用可能な自転車があれば、そこで「予約」するのが鉄則。予約せずにポートに行ってから解錠しようとすると、誰かに先んじられてしまう。

 前出の40代男性は、使い方についても、こう補足してくれた。

「ドコモの場合、月額会員は初乗りの30分は乗り放題。30分以内に返却して乗り継げば追加料金がかかりません。ふだんはそうやって交通費を抑えているのですが、地震のときのような“争奪戦状態”のときは一度借りたら充電がなくなるまで乗り続けて目的地に急いだ方がいい。返却から再びレンタルするわずかな間に、第三者にアプリで予約されるリスクがあるのがひとつ。もうひとつは夜間だと、返却した瞬間にメンテナンス表示が出て、再乗車できなくなることもあります。終電を逃したときの帰りなど、せっかく見つけた自転車が返却を機に乗れなくなるのはショックです」

 男性は銀座から帰る場合、新橋駅周辺のポートで乗り、ゆりかもめ・日の出駅周辺のポート、次に品川駅周辺のポート、そして京急・大森海岸駅周辺のポートと乗り継ぎ、JR蒲田駅近くのポートで返却するそうだ。

 地震の日は途中で返却することなく乗り続け、30分を超えた分の2回分の超過料金220円を払って帰宅したという。タクシーの深夜料金は6000円ほどかかるから、月額料金を加味しても安さは歴然だ。

 なるほど、シェアサイクルは帰宅困難のときに大いに役立つ。地震のあった7日に、「HELLO」の利用者が通常の3倍に上ったのも納得だろう。

■トヨタの「チョクノリ!」24時間利用OK!

「ドコモ」も「HELLO」も、自転車は電動アシスト機能付き。長距離も安心だ。が、1時間を超えてこぎ続けるのは、きついはず。20キロ超の長距離で考慮したいのがカーシェアだ。「タイムズ」や「オリックス」「カレコ」など各社が、夜から翌朝にかけての割安プランであるナイトパックを用意している。「タイムズ」の場合、ベーシッククラスは2640円で、1キロごとに16円の距離料金が加算される。

 利用方法は自転車の場合と同じで、各社の会員になり、スマホなどで予約。駐車場などで指定した車のカギを解錠して乗る。自転車と違い、ワンウエーの使い方はできず、常に元の場所に戻すのが鉄則だ。帰宅困難なときに自宅まで運転して帰ったら、近くのコインパーキングなどに止めて翌朝、出社前に返却しないといけない。

 レンタカーだが、同様のサービスをしているのが「トヨタレンタカー」の「チョクノリ!」。スマホで手続きできて、店頭での受け付けがいらず、スマホがクルマのカギに。サービス提供店舗で24時間出発、返却ができる。エコノミーと軽は6時間まで5500円~。会員はウェブ予約で10%オフ、ゴールド会員は20%オフだ。「チョクノリ!」対応は、都心に六本木と小伝馬町、有楽町の3店舗のみと少ないのがネックだが、覚えておいて損はないだろう。

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