各地で発生する死亡事故の裏に…「運転中の失神」「病気と薬の影響」にドライバー要注意

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長嶋茂雄氏は脳梗塞の原因となったが…

 不整脈は心臓疾患に含まれるから、運転中の重大事故との関係において、注意するに越したことはない。客を乗せるトラックやバスなどの運転手は、健康診断を厳しく行うことで乗務禁止になるマニュアルもあるにはあるが、それでも事故は起きている。

■降圧剤、精神安定剤などでふらつきも

 では、一般的なドライバーはどんなことに注意すればいいのか。

「まず、動悸や息切れ、めまいなどの症状は中高年ならありふれたものですが、『年のせい』『疲れがたまっているのかな』などと軽く見て放置しないこと。そういう人が一部にいるから大事故がなくならないのです。不整脈につながる症状がある人は、必ず循環器科を受診。特に高血圧があれば、なおさらでしょう」

 前述の心房細動は高血圧がリスク。高血圧の人は、そうでない人に比べて3倍発症しやすいことが分かっている。血圧計と心電計が一体化した家庭用心電計も普及している。自宅や会社などにあれば、そのデータを持参して受診するといいという。

「循環器科では、24時間の心電図を調べるホルター心電図を用いて、自覚症状にかかわらず不整脈の有無を調べます。ほかに心臓のエコー検査や血液検査、運動時の脈や心拍を調べる運動負荷試験なども併せて診断するのです」

 高齢者の場合、めまいや失神の原因が薬の副作用の可能性もあるという。

 薬は腎臓や肝臓で代謝されるが、高齢者はそれらの機能が衰えて、若いときより薬が長く体に残り副作用が出やすくなる。それで、降圧剤や精神安定剤、睡眠薬などを服用していると、それらの副作用でふらついたり、眠気で意識を失ったりすることがあるのも知られている。薬の見直しも重要だ。

 こうした精密検査を受けて、めまいやふらつきの原因を見つけたら、きちんと治療を受けることが肝心だろう。洞不全症候群はペースメーカーの設置が不可欠で、心房細動はカテーテルアブレーションといって血管内治療で治す。軽い不整脈なら薬で治療することもできる。

「大事故を起こしてしまってからでは遅いので、毎年の健康診断はきちんと受けた上で、気になる症状があれば『時間がない』などと先延ばしにせず、すぐに受診して適切な治療を受けること。中高年なら、ホルター心電図などのほか、脳ドックも受けておくとよいでしょう。高血圧や糖尿病など生活習慣病の治療も必須です」

 不整脈が加齢で発症しやすくなるのは事実だが、睡眠不足やストレス、多量の飲酒、肥満などのリスク因子が重なると若い人も発症しやすい。忘年会や新年会が続く人は要注意だ。

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