65歳を過ぎたらラーメン屋に行ったりかつ丼を食べるのも大切
「まごわやさしい」は低栄養の枯れた老人に
その鎌田さんは「長生きの最大の敵のひとつは低栄養の問題」と指摘する。
「人は40歳を過ぎると毎年、1%ずつ筋肉が減っていくといわれています。そうなると怖いのがフレイルです。フレイルとは筋肉の衰えによって心身の働きが弱くなった虚弱の状態のこと。65歳以上の半分近くがフレイルやフレイル予備群、つまり筋肉に不安がある状態というデータもある。80歳を越してコンサートや旅行に行けないのは、お金より筋肉がなくなってしまうことが原因というケースが多いのです」
「まごわやさしい」という言葉がある。体のためには豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、いもを食べなさいという古くからの教えだが、鎌田さんが推奨するのは「朝は来た、にぎやかだ」。あ(油)さ(魚)は(発酵食品)き(きのこ)た(卵)に(肉)ぎ(牛乳)や(野菜)か(海藻)だ(大豆)を積極的に取るのが良いのだという。
「まごわやさしいと、いかにも日本らしい食事を勧めているわけだけども、これだと高齢者のフレイル、低栄養になって枯れた老人になってしまいます。フレイル予防にはタンパク質、肉や魚や納豆やヨーグルトなどをしっかり取って、なおかつ油もいい。油はできたらいい油、オレイン酸の多いオリーブ油、α-リノレン酸の含まれるえごま油やアマニ油が良いのですが、65歳を越したら意識してラーメン屋に行ったり、かつ丼を食べたりすることも大切です」
▽鎌田實(かまた・みのる)医師で作家の75歳。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり、地域包括ケアの先駆けに。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長。「鎌田式『スクワット』と『かかと落とし』」「認知症にならない29の習慣」など著作多数。昨年11月には「医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術」(アスコム)が発売された。