震災打撃が突きつけた「トイレ」の盲点…仮設の種類&価格は? 家族4人の必要備蓄数は?
南海トラフの避難者は950万人
もっとも、熊本地震の際に避難所に最初に仮設トイレが設置されたのは「3日以内」が66%。3分の1はそれ以上の日数を要した。アンケートでも「使用マナーが悪い」(40%)や「男女別になっていない」(20%)があり、首都直下地震や南海トラフ地震の際のトイレ対策のヒントになりそう。避難者の声の中には「道路から見える場所に設置され、入りづらい」「小さい子供は怖がり仮設トイレに入りたがらない」「避難所の人が多くて使用しなかった」というものもあった。
もし南海トラフ地震が起きれば、想定される避難者数は最大約950万人。内閣府の想定では、上水道は断水によって同3570万人が使用不可になり、下水道も同3460万人が利用できなくなる。被災1カ月後でも上水道と下水道の復旧は遅れ、同450万人が使えないままだ。
そこで用意しておきたいのが、携帯トイレ(ポリ袋、給水シートタイプなど)や簡易トイレ(持ち運びできる)、仮設トイレ用凍結防止剤(寒冷地のケース)といった災害用グッズ。特に自宅避難を考えている人は携帯トイレが必須。汚物を捨てる際に中身を見られないよう新聞紙や不透明なポリ袋も準備しておきたい。
■家族4人で携帯トイレは何枚必要か
その際、どれくらいの数の携帯トイレを用意しておけばいいのか。
内閣府によると、災害時のトイレ使用の目安は1人あたり1日5回。それに従うと、4人家族の場合に備蓄する簡易トイレの数は、7日間を想定した場合、排泄するたびに交換すると140枚用意しなくてはいけない。使用済み携帯トイレの捨て方は自治体によって異なるが、「可燃ゴミ」のところが多い。ただ、ゴミ収集車はしばらく来られないことが予想されるため、蓋つきの容器で一時的に保管しておく必要がある。
繰り返すが南海トラフ地震の想定避難者数は950万人。阪神・淡路大震災の約32万人、東日本大震災の約47万人と比べてもけた違いになる。もちろん、能登半島地震のように全国からの水道局職員の助っ人も期待できない。
食料や水の備蓄は周知されてきたが、意外な盲点は「トイレ」にある。