「東京一極集中」が再び加速し地方衰退…人手不足が人口流出を招く悪循環
大阪南部で路線バスを運行していた金剛バスは全路線を廃止。約30台のバスを17人の運転手で回していた。足がなくなれば、引っ越しが脳裏をよぎるだろう。
人口移動報告を発表した総務省国勢統計課の担当者は「転出超過の地域の人手不足の状況について、当課では把握していません」と答えた。
経済ジャーナリストの井上学氏が言う。
「コロナ流行時、『テレワークが定着し、どこでも仕事ができるようになったから、地方移住の時代が来る』と言われました。実際、東京への転入超過は一時、減りましたが、一時的だったということ。東京一極集中が再び強まると、地方は衰退の一途です」
■是正目標先延ばし「20年度」→「24年度」→「27年度」
東京一極集中の是正は安倍政権下の14年、「20年度までに東京への転入と転出を均衡させる」としてスタート。しかし成果は出ず、19年に断念。安倍首相(当時)は「24年度まで」に軌道修正した。22年には岸田首相が「27年度まで」にさらに先延ばししている。