能登半島地震で大半が液状化 耐震化だけでは被害は防げない…都心のタワマンは大丈夫か?
大きく傾いた電柱、浮き上がったマンホール、ベコベコになったアスファルト--。能登半島地震の被害が明らかになるにつれ、地震の脅威を改めて認識する。石川県内灘町と新潟市の2市町だけで罹災証明書の発行申請は1万2394件(1月29日時点)に上るという。大半は「液状化」が原因とみられる。
■道路はベコベコ、家には段差が
頑丈につくられた家なら大丈夫。地震による家屋倒壊の危険から命を守るため、新耐震基準(1981年)を満たす建物の重要性が呼びかけられてきた。これは震度5程度の地震なら軽微なひび割れで済み、震度6程度でも建物が倒壊しない水準となっている。
ところが、今回の能登半島地震で新耐震基準の“安全神話”が完全に崩壊してしまった。地面の液状化で家は大丈夫なのに大きく傾いてしまい、敷地内に埋まった水道や下水管の損傷も激しい。
「石川県内灘町、新潟県新潟市、富山県射水市や高岡市などで地盤の液状化が発生しました。地盤の液状化は、住宅の耐震化では被害を防ぐことはできません」
こう話すのは、現在、被災地で液状化を調査している「だいち災害リスク研究所」の横山芳春所長(理学博士)だ。
横山所長が訪れた高岡市では、田んぼに盛り土をした造成地の住宅で擁壁に段差が生じるなど液状化被害が見られたという。厄介なことは、自宅はそのままなので見た目は被害がないように見えてしまい、補助が届きにくいこと。新潟市は住宅が全壊なら最大400万円、中規模半壊で同150万円が補助される。
「液状化が起こる要素は『緩い砂でできた地盤(おおむねN値15以下)』『地下水の水位が高い』『大きな地震(おおむね震度5弱以上)』の3つがあります」(横山所長)
N値とはなかなか聞きなれない指標だが、簡単にいうと土の締まり具合のこと。63.5キロのおもりを高さ76センチから鋼管パイプに落とし、パイプが地中に30センチ埋まるのに何回かかるかという指標。つまり、N50は50回ということになる。