能登半島地震で大半が液状化 耐震化だけでは被害は防げない…都心のタワマンは大丈夫か?
リスクがある場合の対策工事は?
いったん液状化が起きてしまえば、住宅の形は残っても、建物が地面に沈み込んでしまう。これでは、住み慣れた家でも建て直しが必要になったり、場合によっては手放さざるを得なくなる。
液状化しないための対策工事はあるのか?
「タワマンのように硬い地盤まで杭を打って沈下しないようにするほかに、緩い地盤を締め固めたり、地下水を抜いたり、家の周囲の土地に壁状の構造物を設けるなどの工法があります」(横山所長)
支持層に杭を打つ「深層混合処理工法」という工事の費用は、新築一戸建てで100万~200万円が目安。地下の液状化層をセメント系固化剤で固める「浅層混合処理工法」は同80万~150万円程度。地盤を囲い込む「格子状地盤改良工法」だと同200万~1000万円程度だ。費用はあくまで目安で、地盤の状況によって工事の手法も変わってくる。
■家が傾いてしまってからする工事は?
残念ながら液状化の被害を受けてしまい、家が傾いてしまったらどうしたらいいのか?
住宅の沈下の具合によって工法は違ってくるが、沈み込みが20センチ以下なら「ポイントジャッキ工法」(地面からジャッキアップして傾斜を整える)で、費用は200万~300万円となる。それ以上沈んでしまって「アンダーピニング工法」(支持層に鋼管杭を打ちジャッキアップする)になると1000万円程度の費用を見なくてはいけない。
ちなみに、IR施設などを整備する大阪の舞洲・夢洲の多くはN値でいうところの10以下の軟弱地盤。ところが、大阪府と大阪市は夢洲の液状化対策について、驚くことに“建物の下のみ”に限定する方針だという。これにより工事費を当初案から4割減らして255億円にするという。
予算を削る場所が間違っている。土地が使い物にならなくなってしまってからでは遅いのだが……。