荻原博子氏が解説「新年度 生活防衛のツボ」株価史上最高値でも庶民は投資をやめるべき
変動金利の125%ルールで元本が減らず…
金利についてはどうか。今後、長期金利が上がれば、住宅ローン金利の上昇も予想されるだろう。
「フラット35をはじめとする固定金利の方は金利上昇でも問題ありませんが、変動金利の方は要注意。その根拠が、変動金利に設けられている125%ルールです」
変動金利には、5年ルールと125%ルールがある。どちらも激変緩和措置で、前者は契約から5年間は金利が上昇しても毎月の返済額が変わらない仕組みだ。後者は、6年目からの毎月の返済額は、それまでの金額に対して125%までしか上げられないというルールである。125%ルールの落とし穴が怖いという。
「125%ルールは毎月の返済額を抑える仕組みですが、総返済額を減らす仕組みではありません。金利が上昇すると、返済額に占める利息部分が増える。ところが、返済額が125%で抑えられていると、元本の返済が進まず、未払いの利息が発生する恐れがあるのです。変動金利の人はとにかく元本を減らす、あるいは返済年数を減らすことを考えるべきです」
東京都と大阪府では4月から高校授業料の実質無償化が始まった。これまで設けられていた年収制限がなくなり、授業料が実質タダになる。都立や府立のほか、私立高校も対象だ。
「たとえば神奈川や千葉から東京の私立高校を目指す場合、受験前に引っ越して授業料無償化の恩恵を受けるのは生活防衛のひとつ。しかし、私立の場合、入学金や設備費、修学旅行の積立金なども公立より高いので、そこは頭に入れておくべきでしょう」
こうしてみると安くなるのは高校の授業料くらいで、生活への逆風は強くなりそうで困る。対策は?
「家計の引き締めが一番です。各種保険の見直しや解約をしたり、通信費の節約で格安スマホに変更したり。ポイントの利活用も大切で、できることはなんでもやって生活防衛につなげる意識が必要です。経済が不安定のまま、庶民の購買力が改善しなければ、デフレに戻る可能性もあるとみています」
生き残るには、もがき続けるしかない。