4月に電気・ガス全社値上げ&5月末で補助金廃止…年間4.5万円負担増を埋める「ポータブル電源」の威力
昨年1月からスタートした電気と都市ガスへの補助金が今年5月の使用分をもって終了する。毎月使用量が400キロワット時の世帯で2800円の負担増だ。その前に4月から電気料金の再エネ賦課金も大幅アップ。電力大手10社は一斉値上げを発表している。
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物価高対策として行われてきた電気・ガスへの補助金制度。正式には「電気・ガス価格激変緩和対策」と言うが、スタートした頃は低圧(家庭向け)の電気料金は1キロワット時当たり7.0円、工場や中規模マンション以上の人が契約する高圧は3.5円、都市ガスは1立方メートル当たり30円が補助されていた。
それが昨年10月の使用分から補助額は半額になっていて、今年5月分はさらにその半分。そして6月分からは完全に「消滅」してしまう。
補助金がなくなれば昨年に比べて電気料金はどうなるのか?
■補助金廃止で標準世帯は年間4.5万円の負担増
資源エネルギー庁が言うところの標準世帯(低圧=月に400キロワット時使用)で月額2800円、年額3万3600円の負担増。同様に都市ガスも標準世帯(月30立方メートル使用)で月額900円、年額なら1万800円のアップとなる。
つまり、1世帯当たり電気とガスの負担は25%ほど(約4.5万円)増える計算だ。
一方、産業界から延長の要望が多いガソリン補助金はなぜか延長される方針。こちらは石油元売りへの補助のため、いまひとつピンときていない消費者が多い。理不尽にもほどがあるが、元売り会社の好業績だけはしばらく続きそうだ。
もっとも、庶民への仕打ちはこれだけではない。水に落ちた犬を打つの例えではないが、再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)の大幅アップだ。
「再エネ賦課金とは、太陽光発電や風力発電促進のために電気料金に加算されるもので、言ってしまえば第2の税金。これが3月使用分まで1キロワット時当たり1.4円でしたが、4月分からは2.09円多い3.49円に増えるのです」(ジャーナリスト・中森勇人氏)
やはり月に400キロワット時を使用する家庭なら、毎月1396円(年1万6752円)の税金を納めることになる。この再エネ賦課金は2012年から始まった制度で、当初は0.22円からスタートした。
もちろん、電気やガス代は燃料価格や為替などの要因でその時々で上がったり下がったりするものだが、補助金も賦課金も関係ない5月(4月使用分)の純粋な電気料金を比べてみても、東京電力の場合は前月に比べて値上げになると発表されている。
先述の通り、標準世帯は年間4.5万円ほどの負担増。こうなると、ちょっとやそっとの節約では歯が立たない。巷間よく言われる「家電を使用しないときはこまめにスイッチを切る」「エアコンの設定温度を1度上げる(下げる)」「エアコンのフィルターを掃除する」「冷蔵庫の温度を強から中に変える」などの節約術はほぼ実践済み。中には電力会社の契約アンペア数を変更したり、新電力に切り替えた家庭もある。それでも4.5万円の負担増にはなかなか追いつかない。