(56)三菱電機のエアコン霧ヶ峰「FZシリーズ」は“省エネ”のみを追い求めた化け物だ
現在当たり前のように使われているシロッコファンは、壁掛け化を実現するために三菱電機が導入したものです。効率(省エネ)よりスペースを取ったためです。
では、FZのどこがすごいのでしょうか。それは省エネ以外の要素を全部無視したところです。
エアコンを開けるとそこにはシロッコファンではなく、扇風機と同じプロペラファンが2つ。W字に組まれた巨大な熱交換器は一気に温度を変えるためです。風向きは上から下のみ。エアコン内で風向きを変えるという非効率なことはしません。どれも省エネのためです。
日本では、欄間(天井と鴨居の間)にエアコンを壁掛けで取り付けるため、室内機は横幅寸法800ミリ、高さ295ミリ以下という寸法規定ができました。ですが、FZシリーズは寸法規定も満たしていません。22年までは、この寸法規定を満たさないと省エネ基準の評価対象にすらならなかったのにです。
同社のZシリーズは24年の省エネ大賞を受賞しています。14畳200Vで期間消費電力量1129kWh。これに対し、FZは同条件で1022kWhを叩き出しました。Zシリーズとはワンランク違うのであります。