仕事を干され、月収300万円→10万円に激減。それでも彼女より愛猫と暮らしたい男性のホンネ
月収300万円から転落
「冷酷と激情のあいだvol.207〜女性編〜」では、自立した大人のパートナーシップを前提に、交際を続けてきた恋人・ユウジさん(仮名)のメンタルが壊れたことに悩む香織さん(仮名)の苦悩をお届けしました。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
すでにひとりでは人並みの暮らしを送るのが困難になっているユウジさんを、香織さんは自分の家に一時的に受け入れようと準備を進めています。
しかしユウジさんの猫と香織さんの犬が一緒に暮らせないことから、事態は思いのほか複雑になっていて…。では、当人であるユウジさんは現状をどう受け止めているのでしょうか。
◇ ◇ ◇
「僕ね、仕事で失敗しちゃったんですよ。それも結構致命的なミスを連発してしまい、以前のように回らなくなってしまったんですね〜…。
まぁ身から出たサビっていうか、我ながら調子に乗っていたところは認めるので『あーぁ、やっちゃったなぁ…』って感じなんですけどね」
全盛期にはデザイナーとして月収300万円近くを稼いでいたと話すユウジさん。聞けば今は、月に10万円程度の収入しかなく、生活はカツカツだと言います。
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猫を手放すなんて本末転倒では?
「多少の蓄えはあったので、今はそれを崩しながら、なんとか暮らしているって感じですね。
こんな僕を彼女はすごく心配してくれていて、僕のメンタルが改善するまで一緒に暮らしたほうがいいんじゃないかって提案をしてくれています。
だけどね〜…、彼女と一緒に暮らすとなると、猫を手放さないといけないんですよ。
向こうの家には犬がいて、猫と相性が悪いので、僕が彼女の家に行くなら猫をどこかに預けなくちゃいけないんです。
そうなると猫を預ける費用だってかかるし、なんだか本末転倒かなって。色々考えると、やっぱり彼女と住むのは、短期間とは言っても現実的じゃないかなぁって気もするんですよね」
心配してくれるのはわかるけど
仕事が立ち行かなくなり、あらゆることへの意欲が激減していると話すユウジさんは、恋愛に対しても以前ほどの熱意をもてない状況とのこと。
香織さんが心配をしてくれるのは嬉しくても、内心では面倒に思う日も多いそうです。
「心配してくれている人に対して失礼かもしれないけれど、ぶっちゃけ『うるさいなぁ』って思うんですよ。
自分のメンタルが前ほど強くなくなっているのは自覚しているけれど、だからって僕自身が困っているわけでもありません。
それなのに彼女が『このままじゃダメだ』とか『早くなんとかしないと』とかギャーギャーうるさいから、だんだんと彼女と会話をするのも面倒くさくなっているんですよね」
お互いに自立したパートナーシップを結んでいる関係だったのに、いつしかふたりを取り巻く雰囲気が変わってしまったことを嘆くユウジさん。
「自分のせいかもしれないし、相手が変わったのかもしれないし、それはわからないけれど、今は以前の関係ではないから居心地が悪い」と話します。
犬と暮らすのも嫌
「僕、犬と一緒に暮らすのも嫌なんですよね。だって僕は猫派ですから。
彼女は僕を心配してくれているけれど、正直、僕は大人ですからね。人生は波があって当たり前だと思っているし、小休止したい時期があってもいいじゃないですか?
これまでは香織と別れるなんて考えたこともなかったけれど、一度彼女との関係もしっかりリセットしたほうが、僕にとっては快適なのかもしれないなぁって考えちゃいます。まぁ揉めるのが面倒だから、僕から言い出すことはないでしょうけど」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)