出雲市立海辺の多伎図書館(島根県)ガラスの大窓を多用、絶景の中の読書空間
島根県出雲市の最西端に位置する多伎町。日本海に面した国道9号からの景観は「日本の夕陽百選」に選ばれたほど。そんな絶景の中で読書が楽しめるのが「出雲市立海辺の多伎図書館」。7つある出雲市立図書館のひとつで、2004年に開館した多伎コミュニティーセンターとの複合施設だ。
「建物は鉄筋コンクリートの平屋建て。ガラスの大窓が多く、館内の壁を白を基調にしているため、明るく開放的な空間で読書を楽しんでいただけます」(出雲市立海辺の多伎図書館司書の富永貴子さん)
特徴は2つの屋外読書スペースだ。ひとつは入り口から入って左側にある中庭のもの。こちらは木製の机やイスが置かれ飲食が可能。もうひとつは北側の突き当たりにあるもの。ウッドデッキに2人掛けの木製ベンチが3つ置かれ、目の前に広がる日本海を見ながら読書を楽しめる。
「四季の移り変わり、その日の天気、時間帯などによって、海の色が違って見えるのです。これからの時期ですと、波が大きくなりますので灰色に。台風が通過した後は水色というか、オレンジ色の夕日が青みがかって見えたりします。潮風に吹かれながら潮騒や海鳥の声を聞けますし、運が良ければイルカの群れを見ることもできます」(富永さん)
たたら製鉄、フィンランド関連の書籍が豊富
館内にはガラス窓を通して海が見える「読書スペース」、学習室として常時開放している「多目的室」、「畳コーナー」、天井が円錐形になっている「おはなしの部屋」、「絵本コーナー」のほか、通路をはさんで中庭の屋外読書スペースの対面には「四半石庭園」がある。町内で産出された安山岩を斜形に敷き詰めた庭園で、同様の安山岩は出雲大社神苑の溝石にも使われているそうだ。
蔵書は閉架図書も含めて約6万冊。中でも海に関する書籍、主に島根で栄えた砂鉄と木炭を燃焼させて鉄をつくり出す日本古来の製鉄法の「たたら製鉄」に関する書籍、出雲市とフィンランドのカラヨキ市が姉妹都市であることからフィンランドに関する書籍が豊富。フィンランドは子供に人気の絵本や小説「ムーミン」のふるさとでもある。
図書館から東に車で30分ほど走れば出雲大社、西に40~50分走れば世界遺産の石見銀山だ。
●住所 島根県出雲市多伎町小田73-1(電0853・86・7077)
●開館時間 休館日の月曜(祝日の場合は翌日)を除く10~19時、月の最終日は図書整理のため休館(土、日曜、休館日と重なる場合は直前の平日)
●アクセス JR小田駅から徒歩7分