川村義肢 川村慶社長(1)障害者を支えるパイオニアが守り続ける「従業員満足度」
このESを高めるために、川村義肢株式会社が生まれた。
「我が社はもう80年近くなりますが、その思いをずっと引き継いでいます。お客さまには申し上げにくいのですが、経営理念の中に、今はお客さまという言葉がないんです。私たちは健全な企業活動を続け、全ての社員と家族を幸せにし、社会の進歩発展に貢献しています。“お客さま”という言葉をなくしたのは私ですが、我が社の社員で、お客さまのことを考えていない社員は一人もいません。例えば、舞鶴から電話がかかってきて、車椅子がパンクしたから空気を入れてほしいと言われたら、自己犠牲を払って車を飛ばしていくわけですよ。これでは創業の精神に反すると考え、決断したんです」
戦後すぐに生まれた川村義肢株式会社。創業者である、川村一人氏から、その精神は、川村氏の父である一郎氏、そして慶氏に受け継がれていく。
開業直後に一人氏は亡くなり、その精神を受け継いだ2代目の一郎氏が取り組んだのは小児の装具であった。 (つづく)
(ジャーナリスト・中西美穂)