インキ最大手DICの決算が真っ赤っ赤に…ドイツ企業からの買収は失敗だった?
投資家からは落胆のタメ息が漏れる。印刷用インキとその原料である有機顔料の世界最大手・DIC(旧大日本インキ化学工業)が23年12月期で約23年ぶりとなる最終赤字に転落した。M&Aの失敗が最大の要因だ。
最終損益の赤字幅は398億円(前期は176億円の黒字)にのぼる。エネルギー関連新事業の事業化断念や国内生産拠点の再編による特別損失の計上などで、昨年11月時点でもともと90億円の赤字が見込まれていたが、それが一気に膨らんだ。
足を引っ張ったのが21年6月にドイツの化学大手、BASFから買収した塗料用などの顔料事業だ。これが欧州の景気減速や米国での物価上昇に伴う需要低迷などで一向に利益が上がらない。このため、当初想定していた収益計画の見直しを迫られ、のれん減損はじめ同事業絡みで最終的に計225億円の減損計上を余儀なくされたのだ。
売上高も前期比1.5%減の1兆387億円、営業利益も同54.8%減の179億円にとどまった。顔料に加え、半導体生産向けや自動車向け製品の販売も振るわなかったためだ。21年12月期まで5%超を維持していた営業利益率は1.73%の低水準に沈む。