空き家活用もインバウンド頼み? 全国に900万戸、2拠点居住の促進制度も解決策にならず
「各自治体の移住促進策も思うように結果が出せていない状況です。最大のネックが仕事で、地方で働く場合、枠が限られる公務員のほか農林水産、人手不足の介護や医療などに限定されます。子育てしやすく、住環境が充実していて、稼げる仕事があれば、そもそも若者の人口流出は起こらなかったでしょう。高齢になれば、医療面で不安も出てきます。2拠点居住も移動コストの高さから、時間的、経済的余裕のある層しか気軽に実行できないのが現実です」
農業に従事したい若者の移住も見られる。
「農業で稼ぐにはある程度規模を大きくしないと生計が成り立ちませんが、耕作放棄地が増えているにもかかわらず、農地法の壁で移住者が簡単に所有できない点も改善の余地があると思います」(長谷川高氏)
だが、田舎にしかない魅力を生かす方法も生まれてきている。
「東京や京都などの観光地に飽きた外国人旅行客が日本の田舎を訪れるケースが増えています。地方では空き家を移住者に貸し出しても、5000円や1万円しか家賃が取れないことも少なくなく、これではリフォーム代や維持費が捻出できませんが、眺めがよい山や海辺、棚田が見渡せるような空き家であれば、民泊にして1泊数万円で貸し出すことも不可能ではありません」(長谷川高氏)
年々増加する空き家の有効活用は一筋縄ではいかない。