イー・ロジット 角井亮一会長(1)スタッフの働き方と事業の成立は子どもの時に知った
きっかけは一本の投稿文。日本倉庫協会の25周年を祝う記念論文に、父親の角井勝美が「これからの物流業界は流通加工を担うべきである」という趣旨の文章を投稿した。
流通加工とは、物流倉庫が商品の値札づけやタグの変更などを行うこと。従来の物流業界にはない新しい事業モデルの姿が描かれた文章は見事入賞。それが後押しとなって、起業に至ったのである。
光輝物流は、主にアパレル関係の荷物を扱っていた。当時のアパレル業界で流通加工を行える事業者はほとんどなく、父親の会社は重宝されることとなった。
「両親はいつも忙しそうにしていました。倉庫に入りきらない量の荷物が来たので倉庫外に置いておき、夜は盗まれないように寝ずの番をしていたことも。ミシンかけやタグづけなど、それまで加工場に送って行っていた作業を光輝物流の倉庫内ですべて実現できる、つまり移動のコストや時間が削減できるからこそ、多くのお客さまがついたのだと思います」
多くの顧客に支持された光輝物流の流通加工サービスを実現する要が、倉庫の近隣エリアに住む主婦を中心としたパートスタッフだった。父親の事業を間近で見続けてきた角井少年は、スタッフの働き方にも事業を成立させるためのポイントがあると幼いながら見抜く。