APECが閉幕…中国と中南米の急接近で世界はどう変わるのか?
ペルーの「チャンカイ港」がハブに
チャンカイ港はペルーだけでなく中国との貿易関係を強める周辺国の利用も想定され、「南米のハブ港」の機能が期待されている。水深は17.8メートルと世界最大級のコンテナ船も寄港が可能。ペルー太平洋岸とアジアを結ぶ海上輸送は平均25日となり、従前に比べ約10日間短縮される。ペルーや隣国チリは銅の主要産出国。周辺ではリチウムも埋蔵量が豊富で、中国は電気自動車(EV)に欠かせないこうした戦略物資の円滑な輸入を図る。中国の主要貿易相手国上位10カ国に中南米諸国はないが、今後はペルーがランクインするだろう。
中国は、対米貿易戦争に備え中南米を重視。APEC前にアルゼンチン、ペルー、ボリビアの外相が相次ぎ訪中し、王毅外相と会談した。特筆すべきはアルゼンチンで、同国のモンディノ外相は4月30日に北京で王氏と会談。アルゼンチンで2023年12月に右派ミレイ政権が発足後、初めての外相訪中だった。ミレイ大統領が23年の大統領選で「共産主義者とは手を組まない」と述べ、中国と距離を置く考えを打ち出し、就任後に前政権が決めたBRICS加盟を撤回していたからだ。
アルゼンチンの23年の輸入額は2割が中国からでブラジルに次ぐ規模。輸出先でも中国が3位。モンディノ外相は会談で「中国との友好を追求する政策は変わらない」と語った。同氏は、ファーウェイや中国機械設備工程のトップらと会い、アルゼンチンへの投資を促した。
中国と南米の連携強化は世界にどう影響するか。注意深く見つめていきたい。