自民党の商品券配布「原資は官房機密費」は33年前からの慣習か…過去の暴露資料に“痕跡”残る
派閥裏金よりも古い自民党の悪しき伝統文化
少なくとも33年前から商品券配布の「悪しき作法」は続いてきたのか。旧安倍派の裏金づくりの起源は、森元首相が派閥会長だった二十数年前と言われたが、もっと古い。
当時の宮沢首相の動静を調べると、〈商品券〉の記載日付と前後して会合の日程がズラリだ。2日前の夜には、旧官邸で官房長官の加藤と2人の官房副長官が同席して党4役らと会い、当日昼は旧官邸で報道各社と懇談を兼ねたランチ。夕方は再び加藤と官房副長官を交え、当時の渡辺美智雄外相ら閣僚と会合という具合だ。翌日以降も官邸に地元後援会幹部を招いたり、高級料亭で財界人との会食を重ねていた。
310万円超の金額から商品券をストックしたことも考えられる。宮沢は支出の1カ月以内に、当時は宮沢派所属の麻生太郎衆院議員ら同派の中堅3人を自宅に呼び、親戚である岸田文雄氏の実妹の結婚披露宴に出席。前年に父・晋太郎氏を亡くし、衆院選出馬を決意した安倍晋三氏の表敬を官邸で受けてもいた。いずれも後の総理である。
他にも暴露資料には、高級背広の仕立券や靴券など他の金券をはじめ、自民党議員が外遊した際の餞別や個別の政治資金パーティー券購入……と「機密費」とは名ばかりの使途が次から次だ。
「機密費は自民党議員の懐を潤すために消え、悪しき慣習が脈々と受け継がれてきたのではないか。せめて一定期間の経過後に使途を公表しなければ、私的流用に歯止めはかかりません」(神戸学院大教授・上脇博之氏)
金権腐敗の伝統文化は根深い。