松井裕にプロ洗礼も 大物ぶり証明した初登板の心・技・体
それでも直後の伊藤こそ四球で歩かせたものの、続くヘルマン、平野恵をピシャリ。動揺から崩れることはなかった。
松井が中学時代に所属していた緑東シニアの中丸敬治監督は「ハートは強い子でしたから」とこう言う。
「とにかく負けず嫌いで、打てるものなら打ってみろ、という投手でした。変化球には絶大な自信を持っており、中学時代はカウント3ボールから3球続けてカーブを投げて三振を奪う度胸の良さもある。松井が精神的に崩れるのは、自信を持って投げた変化球を打たれた時くらいではないか。野球では常にマイペース。周囲に流されることはありませんでした」
■ストレートに2種類の角度
「技」はどうか。平日デーゲームにもかかわらずコボスタ宮城に集まった2万人以上のファンをあっと言わせたのが、初回の投球だ。1死二塁の場面で、打者は3番糸井。二塁進塁は自身のワイルドピッチだ。松井はフルカウントから左打者の外角低めいっぱいに148キロの直球で見逃し三振。糸井はピクリとも動けなかった。
これにはライバル球団のスコアラーも舌を巻く。