松井裕にプロ洗礼も 大物ぶり証明した初登板の心・技・体
「松井の特徴は荒れ球だけに、ここぞの場面での制球力は並の投手以上の効果がある。左腕の松井が左の糸井の外角に投げたというのもポイント。松井のストレートにはタテの角度だけでなく、横の角度もある。左打者は自分の背中から来たボールが目の前を横切って明後日の方向に行くように見えるのではないか。距離もあるので、あれをストライクと判断するのは難しい。糸井以外の左打者にも効果的に投げていた。あれは要注意です」
■カローラにベンツのエンジン
初登板の緊張にもめげずプロ入り最多の112球を投げたこと、助っ人打者すらファウルにするのがやっとという高めの直球の威力は「体」が優れている証拠だ。前出の中丸氏が言う。
「174センチ、75キロという体格からは想像できないパワーを持っています。例えるならカローラの車体にベンツのエンジンを積んでいるようなもの。体も頑丈で中学、高校とケガらしいケガは皆無です。シニアの全国大会で優勝した時は4連投。完投、リリーフ、完投、リリーフと試合で投げ続けましたが、疲れた様子もなく球威も落ちない。どこそこが痛い、というのは聞いたことがない」