<第16回>1カ月で体重8キロ減「絶対に体がおかしくなってる」
その後も、吐き気とそれに伴う倦怠感が治まらず、帰りの飛行機の中でもほとんど食べ物を口に出来ずに帰国。仙台の下宿に戻っても、食べ物を見るとステーキのトラウマを思い出してしまい、数日間、何も喉を通らない日々が続きました。
そんな苦しい思いをした半面、ふと自分の体重を量ってみると、48キロ以下にならなかった体重が数キロ減っていた。食べたいものを我慢してもなかなかできなかった減量が、食事への拒否反応で皮肉にも成功したのです。
こうなると「欲」が出ます。
「もっと痩せられる」
普段から先生は他の選手に「太るな!」と怒鳴ることがありました。仮にこの体重を維持できれば、先生に怒られることはない。先生だって、私の体が細い方がいいに決まっているし、ジャンプの跳躍力も体が軽ければ伸びるはず。
健康を顧みず体重減に走った私は、大学が始まった4月以降も、極力食事を取らない生活を送るようになりました。
体にいいわけがありません。当然のように、4月下旬になると反動が出始めました。何かを食べなくてはいけないけれど、太りたくはない。そのために何を食べていいのかもわからない。食べ物を見るだけで気持ちも悪くなる。