引退試合の相手がよりによって外国人投手 あれには参りました
「すいません。助っ人だから、インセンティブ(出来高)がかかっているみたいで、ガチなんです。本当にすいません」
いやいや、気にせんといて。苦笑いを浮かべてそう言ったものの、160キロにも見える真っすぐがきたときには、苦笑いも引きつりました。これじゃあ、打てるわけがありません。3タコで迎えた最終第4打席も相手は外国人のベイル。
「すいません」
再びバツが悪そうに倉クンが言います。
「こっちもインセンティブみたいで」
結局、4打数無安打。同じ日にユニホームを脱ぐことになった西山さん(秀二=現評論家)、後藤さん(孝志=現巨人二軍コーチ)もヒットが出ませんでした。引退試合に臨んだ3人が全員無安打ですから、かえって珍しい最後になったかもしれません。
当時の巨人は松井秀喜に清原和博さん、高橋由伸、二岡智宏と人気選手が揃っていましたが、あの日のスタンドだけはボクの背番号2のプラカードや「巨人一筋スーパーサブ」という横断幕を掲げてくれたファンが最も多いように感じました。