引退試合の相手がよりによって外国人投手 あれには参りました
15年間の現役生活で1205試合に出場、思い出に残るゲームは数多くあります。中でも印象深いのが、2005年10月5日の広島戦。僕の“引退試合”です。
首脳陣の計らいで「5番・一塁」でスタメン出場。でも、まったく打てる気がしません。9月26日に球団から戦力外通告を受けて以降、バットを握ることすらほとんどなかったので、招待した両親と妻にも「バットにボールが当たってくれれば」と控えめに言うのがやっとでした。
一方で淡い期待もありました。その日はシーズン最終戦。巨人の5位、相手の広島の最下位もすでに確定していました。こういうケースでは、引退する選手に花を持たせてやろうと、相手投手が真ん中に直球を投げてくれることが少なくありません。それだったら打てるかも……。
ところがどっこいでした。
広島の先発は浪花節が通じる日本人ではなく、外国人のデイビー。第1打席の初球にいきなり切れ味抜群のスライダーです。何だ!? と思っていたら後ろから「すいません」という声が聞こえました。キャッチャーの倉クンです。