ライバルが一番大事 遠藤は出稽古に行かなきゃ
「先代の武蔵川部屋の稽古場では歯を見せられなかった。誰かが笑ってるところ、見たことがないよ。よその部屋では稽古中にしゃべったり、笑顔もあったみたいだけど、ウチの稽古場は稽古する音が聞こえてただけ……毎日毎日、空気が重かった。
先代は朝の7時半ごろ、遅くとも8時には稽古場に下りてきた。私たちは1時間半ぐらい準備運動して、そこから稽古が始まった。それぐらい準備運動しないとケガしやすい体になるからね。今の私の部屋でも準備運動は時間をかけてやるよ」
力士にとっては同部屋にライバルがいることが「大事。一番、大事」と武蔵川親方は何度も言う。身近な稽古相手に恵まれるか否かなのだ。
「同じ部屋に稽古相手がいなかったら、外に行かないといけない。それはしょうがない。今の遠藤がそうだよ。稽古相手がいない。だから出稽古に行かなきゃ。師匠も『行け』って言わないといけない。自分の部屋でやらすより、師匠は遠藤の背中を押してほしいよ。
一人じゃできないんだからさ。お相撲さんだけじゃなくて、人間、誰でも一緒でしょ。『今日は疲れたな。やめようかな』とか言って、行かなくなる。そういうときは、誰かが背中を押してくれなきゃ行けない(笑い)。