1205試合に出場して21盗塁 これ、密かな自慢です
実は走塁にも自信がありました。塁に出れば、投手の持ち球、クイックの巧拙、バッテリーの性格、配球の傾向などを頭の中で反芻し、「前の打席でこの打者をフォークで三振に打ち取ったな。この打席も追い込んだらフォークか。ショートバウンドする可能性はあるな」などと想定して、1歩でも2歩でも多くリードオフを取りました。
こうした場面で厄介だったのが、ヤクルトの正捕手だった古田敦也さんです。捕手にもいろいろなタイプがあって、投手のワンバウンドのボールに対して、中日の中村武志さんは体で止めることを優先。古田さんも走者がスコアリングポジションにいるときは同じですが、それ以外は体で止めにいかず、中腰になって内野手の逆シングルのようにミットを使い、一塁へ矢のような送球を投げてくるのです。
横浜の正捕手だった谷繁元信さんは、投球を後ろにそらしたとき、走者を見ながらボールを追っかけるタイプでした。横浜戦で僕が三盗を決め、投球はワイルドピッチ。谷繁さんのこのクセが頭に入っていたため、一気に本塁を陥れ、これが決勝点になったという試合もありました。