ザル検査にタニマチ…球界から不祥事が一掃されない事情
■試合前に選手と談笑するケースも
日本球界の「悪しき慣習」をもう一つ挙げるなら、球界全体が「タニマチ」と呼ばれる人たちに寛容過ぎる点です。
ファンの方はご存じないと思いますが、プロ野球の試合前ベンチには報道陣や評論家に交じって選手の友人、知人が大勢訪れます。特に、地方球場で行われる試合には地元のタニマチなどが何十人と球場を訪れ、球団発行のパスで“ベンチ入り”。試合前から選手やコーチらと堂々と談笑しています。
僕も現役時代は各球場でそんな光景を何度も見ました。でも、引退して考えてみるとこうした光景にはやはり違和感を覚えます。こうした人たちに交じって、色々な人が選手と深い関係になれてしまうからです。実際、僕の知り合いの選手には、試合前のベンチで先輩に人を紹介され、試合後にその人と食事に行ったら実は“怪しい人”だった、なんてこともあったようです。意図して付き合う気がなくても、いつの間にか色々な筋の人と知り合いになってしまう。これが今の野球界の現状です。
薬物に手を染めた清原さんや野球賭博に関与した元巨人選手が悪いのは事実です。その一方、そんな環境を野放しにしている球界にも責任があるのではないでしょうか。
NPB(日本野球機構)にはファンサービスだけでなく、自らの「生ぬるい環境」を積極的に変えていってもらいたいと思います。