稀勢の里の横綱昇進条件 協会は明確化すべしと評論家苦言
27日に発表された、大相撲7月場所の番付。注目は当然、東の正位に座る大関稀勢の里(29)だ。
横綱審議委員会の内規では、綱とりは「2場所連続優勝、あるいはそれに準ずる成績」とある。昇進がかかっていた先場所は、13勝2敗。横綱白鵬(31)に優勝を許したが、「優勝に準ずる」成績として扱われ、今場所も綱とりは継続している。
しかし、二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「優勝すれば、そういう話になる」と話すだけで、では何勝以上かという具体的な数字は何も示していないのだ。
先場所も稀勢の里の昇進条件は、どんどんハードルが下がっていった。当初は「3横綱を破り、14勝以上の優勝なら」と言われていたが、白鵬に負けるや「残り2横綱を倒して優勝」ときた。
相撲評論家の中澤潔氏は「全勝か、せめて14勝1敗の優勝でなければいけません」と、こう話す。
「確かに稀勢の里は強い。2場所連続13勝2敗と安定感もあります。でも、現状では『日本人力士の中では一番強い』というだけ。相撲の取り口にしても、どこに特徴があるのかといえば言葉に窮します。結局、横綱審議委員会と相撲協会が日本人横綱を無理やりにでもつくって、盛り上げたいというだけでしょう。ならば、稀勢の里が13勝で優勝でも昇進させてしまうのか。そんな昇進のさせ方では稀勢の里のためになりませんよ。弱い横綱では、昇進後に苦労しますからね」