市民ランナー川内の3位で浮き彫り 実業団選手の低レベル
タイム(2時間9分11秒)は平凡だったが、日本勢トップの3位に入ったのは市民ランナーの川内優輝(29)だった。所属企業から給料をもらっている実業団選手はこの時季、元日に行われる駅伝のことで頭がいっぱいだ。来年の世界陸上のキップを狙っている選手たちは、2月の別府大分か東京、また3月のびわ湖毎日を走ることになる。
今大会のテレビ解説を務めた日本陸連の長距離・マラソン強化戦略プロジェクトリーダーでもある瀬古利彦氏が口癖のように言っていることだが、今の選手はマラソンの練習量が驚くほど少ない。
これまで400ものレースを走ってきた川内は、トレーニングで80キロから100キロ走も行っている。こんな選手は実業団には皆無だし、指導者も故障されたら困るのでマラソン強化の練習はあまりやらない。かつて川内は、「駅伝中心で、マラソンがおまけの選手には負けたくない」と、喧嘩を売ったほどだ。
海外レースに招待されることもある川内は、昨年のニューヨークシティーマラソンに自費参加した。指導者の言いなりになっている実業団選手とは違い、マラソンに懸ける情熱と練習量、たくましさは誰にも負けない。それでも川内の持ち時計は2時間8分14秒。アフリカ勢が2時間3分を切る時代に、この日のタイムも2時間9分台だった。これが国内マラソンの現実なのだ。