研究者に聞く 「ミトコンドリア」でマラソンは速くなる?
今年もマラソンの季節到来だが、国内におけるマラソンは不思議なもので、以前より記録が落ちている。低酸素トレーニングやサプリメントなども多数開発され、昔より記録が伸びてもいい環境にありながら、男子(02年高岡寿成=2時間6分16秒)も女子(05年野口みずき=2時間19分12秒)も日本記録は今も破られていない。そんな国内の一部指導者が数年前から目をつけているのが「ミトコンドリア」だ。高校の生物の教科書などで名前や写真を見た記憶があるかもしれないが、「ミトコンドリア」がマラソンランナーの能力に深く関わっていることは、一般の人にあまり知られていない。そこで、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の鈴木良雄先任准教授にミトコンドリアについて話を聞いた。
■酸素摂取量がアップ
――そもそもミトコンドリアとはどういうものですか。
「生物の細胞に含まれるエネルギーをつくる器官です。我々は酸素を吸って、吐いている。ミトコンドリアは、酸素を使ってATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーのもとをつくっているのです」