高校サッカーの頂点に 青森山田監督「勝てる組織」を聞く
2016年度プレミアリーグEAST1位の青森山田高サッカー部が、16年12月にWEST1位のサンフレッチェ広島ユースとのチャンピオンシップ戦を制し、17年1月には高校サッカー選手権を制覇した――。このプレミアリーグと高校選手権のダブルタイトル獲得を評するに「偉業」という言葉がピッタリだろう。「高円宮杯U―18プレミアリーグ」は、全国の高校生年代のJユースと高校サッカー部の上位20チームが、4月開幕~12月閉幕のリーグ戦(チャンピオンシップ戦を含めて19試合)を戦って日本一を決める。「全国高校サッカー選手権」はトーナメント方式で行われ、今年度は16年12月30日開幕~17年1月9日決勝の短期決戦(優勝まで5、6試合)。同じ年度にスタイルの異なる大会で頂点を極めた青森山田高サッカー部の黒田剛監督(46)は、どうやって偉業を達成したのか? このほど「勝ち続ける組織の作り方」(キノブックス)を上梓した黒田監督に秘訣を聞いた。
■ゴールが埋まるハンデイを克服
――雪国のハンディを克服しての日本一です。
「近年は積雪量も減りましたが、青森に来た当時はサッカーゴールの2・44メートルのクロスバー辺りまで雪が積もり、クロスバーに腰掛けることもありました。確かに過酷な環境だと思います。しかし、そのハンディを逆手に取りました。たとえば雪に埋もれたピッチで50人対50人のゲームをやります。そこにボールを3個入れて2点を先に取った方が勝ち、といったルール設定にします。選手は膝まで雪に埋もれながら走り続けます。雪によって負荷がかかり、とてもよいトレーニングになります。Jリーグのユースに行けなかった部員も少なくありませんが、その悔しさをハングリー精神に置き換え、正しい方向にベクトルを向けてあげることが、彼らの《伸びしろ》となります。選手は大半が寮生活を送るのですが、雪かきをやったり、朝早く起きて食事当番をやったり、そういったサッカー以外の時間もまた、彼らの成長を促していると思っています」