精一杯の銅 高梨沙羅が“金メダル宣言”に隠し続けた重圧
2人を追う高梨は2本目のジャンプも103.5メートルの飛距離でトップに立った。その直後、向かい風が強くなり、スタートゲートが2つ下げられた(助走距離1メートル減)。それでもアルトハウスはK点を大きく超える106メートルをマーク。ルンビも貫禄の110メートルジャンプで上位2人に波乱はなく、予想通りの金、銀だった。
ある欧州のジャンプ関係者は「サラにとっては最高の結果です」と言ってこう続けた。
「絶対女王でソチ五輪に臨んだサラはまさかの4位に終わったが、あれから4年で女子ジャンプの勢力図はガラリと変わった。ソチの結果で言えば、ルンビは8位。アルトハウスは23位です。アルトハウスはサラに憧れ、彼女のジャンプを徹底研究し、ルンビは体幹や筋力を鍛えて飛距離を伸ばした。ルンビはサラよりゲートを下げても110メートルも飛んだ。それを不思議に思っている者は皆無です。
サラは今大会で金メダルを取ると言い続けてきた。実際には、ルンビとアルトハウスとのレベル差は自分が一番わかっていたはずです。サラは2本ともアプローチ(助走)、サッツ(踏み切り)、空中姿勢、着地もほぼ完璧。着地直前の風もうまく拾って距離を出した。それでも金メダルに届かなかったことが、上位2人との力の差を物語っています」