同じ愚を繰り返し黒星…稀勢の里に足りないのは技術だけか
「ニワトリは三歩歩くと忘れる」じゃあるまいに……。
幸先の悪い黒星発進となったのが、横綱稀勢の里(32)だ。立ち合いで張り手を繰り出すも、押し相撲を主体とする貴景勝の勢いは止まらない。片や組みたくない貴景勝、片やぶつかってから組みたい和製横綱は、何度も激しくぶつかり合った。最後は稀勢の里が前に出たところを貴景勝がはたき込み。潰れたカエルさながらに、土俵に腹ばいにされた。
「立ち合いで張られたので、気持ちでは負けないようにと」
とは貴景勝の弁。それにしても情けないのが、稀勢の里の負け方だ。
この日の取組は、途中までは9月場所の焼き直し。当時は稀勢の里が勝ったものの、「ぶつかり合い」と「引き技で体勢を崩された」ことは共通している。
しかも、今回の貴景勝は何度もはたきを見せていた。それでも稀勢の里のアタマからは先場所の相撲などすっぽり抜け落ちていたのか、同じ愚を繰り返す始末。かねて稀勢の里は「パワーはともかく、相撲技術はつたない」と言われていたが、これでは技術うんぬん以前の話だろう。
解説を務めた北の富士氏が「貴景勝の方が相手をよく見ていたね」と話したのも当然か。