著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

マラソン川内優輝プロの初仕事は金より大事な陸連の“打破”

公開日: 更新日:

 マラソン川内優輝がプロ転向した。埼玉県庁に就職した2009年から、フルマラソンだけで92回も走った。実業団選手を差し置いて世界選手権代表が3度、アジア大会の銅メダルも獲得している。前代未聞の市民ランナーに“令和の金栗四三”としての新境地開拓の期待がかかる。

■ボストン優勝の勲章

 最大の勲章は昨年のボストン・マラソン優勝だ。ボストンは都市マラソン発祥の地、日本のお家芸としてのスタート地点でもあった。1951年の田中茂樹の優勝から数えて8人目の日本人チャンピオンだが、ここは2人目としたい。ボストン・マラソンがオープン化して賞金レースになったのが1986年、それ以降は87年に瀬古利彦が勝っただけ。ケニア勢がマラソンに参入したのが92年のボストンからで、オープン化以降の勝利には別格の重みがある。

 川内は週末の大会を練習代わりに使った。邪道といわれたが、一匹狼が一人ではできない追い込み練習に大会を使うのは60年代の先輩たちもやったことだ。人気者が地方大会に出場すれば、レース後にはサインを求めて長い列ができる。川内は最後の一人までそれに応えてきた。人格が素晴らしいとまでは言わないが、死語となった「公僕」のかがみだったから人気も出たのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中

  2. 2

    ドジャース地区V逸なら大谷が“戦犯”扱いに…「50-50」達成の裏で気になるデータ

  3. 3

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  1. 6

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  2. 7

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩

  3. 8

    堂本剛、松本潤、中山優馬…そして「HiHi Jets」髙橋優斗の退所でファンが迎えるジャニーズの終焉

  4. 9

    「光る君へ」一条天皇→「無能の鷹」ひ弱見え男子…塩野瑛久は柄本佑を超える“色っぽい男”になれる逸材

  5. 10

    虎の主砲・大山を巡り巨人阪神“場外乱闘”に突入か…メジャー挑戦濃厚な岡本の去就がカギを握る