遅咲きの“銀鼠色”志摩ノ海航洋はケガでも腐らず稽古に邁進
29歳・木瀬部屋
ケガの多い大相撲では「腐らない」ことも、資質のひとつだ。
近大時代に幕下付け出しの資格は得られなかったものの、序ノ口からわずか4場所で幕下まで昇進。このままいけば十両も確実……と思われていた2013年7月場所で、左ヒザ前十字靱帯断裂の大ケガを負った。翌9月場所から5場所連続全休とあって、序ノ口からの出直しを余儀なくされた。
それでも志摩ノ海は腐らず、稽古に邁進。ケガと付き合いながら16年5月場所で十両昇進をかなえたものの、負傷の影響もあってわずか1場所で陥落。その後は右ヒザも痛め、鳴かず飛ばずの状態が続いていた。
転機となったのは昨年11月場所だ。当時十両だった志摩ノ海は後半に5連勝すると、突如、開眼。今年1、3月場所で連続優勝を決め、新入幕を果たした。
「以前の志摩ノ海は勝敗を気にするあまり、相手の出方を警戒し過ぎて消極的な相撲が多かった。体格を生かし切れていなかったんです。そんな弟子を心配していた木瀬親方(元前頭肥後ノ海)は、『勝ち負けはいいから、とにかく前に出ろ!』と叱咤。勝敗を気にしなくなってから勝ち出したのです」(角界OB)