著者のコラム一覧
森山高至建築エコノミスト

1級建築士。1965年生まれ。岡山県井原市出身。岡山県立井原高から早大理工学部建築学科に進学し、88年に卒業。斎藤裕建築研究所を経て、91年に株式会社アルス・ノヴァを設立し、代表に就任。04年に早大政治経済学部大学院経済学修士課程を修了した。建築家として関わった物件は1000件以上。長崎県の大村市協定強建替え基本計画策定など、公共建設物のコンサルティングに携わるほか、マンガの原作などの仕事も手掛ける。主な著書に「非常識な建築業界 『どや建築』という病」がある。

競泳会場は無駄と杜撰な施設設計の象徴 年6.4億円赤字に

公開日: 更新日:

アクアティックスセンター

 新国立競技場に次いで、東京五輪での新設の意義が問われているのがアクアティクスセンターだ。そもそも、隣接する辰巳国際水泳場が五輪施設として規模が足りず、増築でまかなうことが断念されたため新設された経緯がある。施設規模が大き過ぎて、維持費がかかり過ぎる点で、「帯に短しタスキに長し」を地で行く2施設の併存は、無駄と杜撰な施設計画を象徴している。

■6億4000万円の赤字と試算

●将来性=12点

 会期中に設置されている1万5000席を大会後には、さらに費用をかけて5000席まで縮小する計画だ。年間6億4000万円の赤字と試算されている。隣接する辰巳国際水泳場の維持管理費も年間で5億円を超えており、スマートな計画とは言い難い。

●デザイン=22点

 大会後の施設改修を意識したのか、建築の構造は内部空間に可変性を持たせるように4本の大柱で大屋根を支える設計となっている。建築工事も巨大な伽藍のごとく大屋根が吊り下げられたさまは壮観である。

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