東京世陸の運営責任者がマラソン・競歩の札幌開催に大反論

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マラソンは五輪の花形種目だ。過去に開催都市を離れて行われたことは一度もない。IOC(国際オリンピック委員会)会長の言いなりになっている場合じゃない」

 こう言って激怒するのは、日本陸上競技連盟(陸連)の強化委員長や専務理事、副会長などを歴任した帖佐寛章氏(現顧問)だ。

 IOCは世界陸上ドーハ大会が閉幕(6日)した翌週の16日、2020年東京五輪のマラソンと競歩会場を、東京から札幌への変更を検討していると発表。17日にはIOCのトーマス・バッハ会長が、「(日本の)組織委員会との協議の結果、札幌に変更することに決めた」と述べた。

 30日から都内でIOCの調整委員会がある。そこで正式に「札幌開催」が決定するもようだが、前出の帖佐氏は、こう語る。

「選手の健康が第一と考えるなら、札幌開催は説得力がない。マラソンと50キロ競歩が行われる同日の過去10年間の気温、湿度を調べた。マラソンのレース終盤(8時)のデータを見ると、札幌は東京より平均気温が約5・2度低いが、湿度は高い。東京は70%を超えたのが6回に対し、札幌は9回。50キロ競歩(9時)も札幌の方が気温は約3・7度低いものの、湿度70%超はそれぞれ5回(平均値=東京71・5%、札幌70・5%)。8月の北海道マラソンも厳しい暑さの中を走ることもある。真夏の札幌は東京よりも必ずしも涼しいとか、走りやすいとは言えないぞ」

■札幌ドームは未整備で標高70メートル

 さらに帖佐氏は「札幌開催の問題点はまだある」と言ってこう続ける。

「私は教え子が北海道にもたくさんいる。発着点になると言われている札幌ドームについて聞いた。まず、陸上トラックがないし、ロードに出ていくゲートもない。幅が4メートルぐらいの荷物の搬入口があるだけ。そんな狭いところは選手同士がぶつかるのでマラソンゲートにならない。陸上トラックとゲートの整備に10億円かかるという報道もある。この費用はどうする? しかも、札幌ドームを出たら国道36号を札幌の中心街に向かうわけだが、往路は長い下り。復路は逆に長い上り坂になる。ドームの標高は約70メートルだからマラソンコースには向かない。IOCはそこまで知らないだろ。IAAF(国際陸連)によるコース計測の作業にもかなりの時間を要する。そもそもIOCが札幌にドーム球場があることなど知っているはずがない。ドームなら観客席に5万人ぐらい入る。販売されているチケットの料金を払い戻さずにすむ。入れ知恵した者がいるんだろうな」

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