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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

不透明な陸上界の一新はマラソン選手会の旗揚げしかない

公開日: 更新日:

 マラソン駅伝が別物であるとも言えるわけだが、国内の人気は依然として高い。昨年9月に行われたオリンピック代表選考レースMGC、復路が凡庸な展開だった箱根にしても視聴率30%近くを獲得した。この注目度に対し、大迫傑は選手への利益還元を訴え、為末大氏は箱根駅伝の財政の透明化を主張した。その通りなのだが、問題はそこにはない。

■儲けようとしない

 駅伝もマラソンもそんなに儲かっていない。あれだけ沿道に人が集まっても観客収入はゼロ。スポンサー料にしろ、サッポロビール一社から驚くほどの金が転がり込むとは思えない。問題は「儲けている」ではなく、「儲けていない」、あるいは「儲けようとしない」ことだ。これだけの人気イベントを市場競争にかける仕組みがない。日本のスポーツを支えたアマチュア時代のなあなあの関係を崩すことは、まさに革命になるからだ。

 ある箱根OBは、大迫はなぜ選手組合をつくらないのだろうと首をかしげる。世界陸連も日本陸連も、ロードレースはトラック&フィールドとは別物と考えている。だから札幌移転も周回コースもゴリ押しされた。だったら、マラソン選手会をつくってロードレーサー自身の権利を主張するしかない。

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