不透明な陸上界の一新はマラソン選手会の旗揚げしかない
今年の箱根駅伝は未曽有の記録ラッシュになった。10区間の7区間で計13人が区間記録を更新。シードを獲得した10校すべてが総合で11時間を切った。初めて11時間を切ったのは26年前の山梨学院大(10時間59分13秒)。それ以降、複数校が11時間を切った例は2014年の2校と昨年の3校だけだ。
■厚底シューズ効果
優勝した青学大・原晋監督は「エビデンスはない」と言葉を濁したが、ナイキ社が開発した厚底シューズの効果であることは疑いない。カーボン素材の反発力を取り入れ、軽量化に成功した。2年前に設楽悠太、大迫傑が日本記録を更新した際に履いたシューズにはそれなりのトレーニングが必要だったが、現在のシューズはどんな走法にも対応できるという。誰でも使える道具だから文句なしで、仮に世界陸連が規制をかけても、駅伝、まして大衆ランナーにまでは適用できない。マラソンは間違いなく1時間台の勝負になっていく。
ところが、箱根駅伝の記録は伸びても、2019年のマラソン世界100傑に日本選手は一人もいないのだ。最高が設楽悠の120位(2時間7分50秒=ゴールドコースト)。200位内まで下っても3人で、厚底前と同じ。こと競走に関して言えば、シューズは関係ないことになる。