著者のコラム一覧
友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

コロナ禍を利用した「マイナーリーガー大量解雇」の背景

公開日: 更新日:

 しかし、メディアがアイスホッケー(NHL)のマイナー最上位クラス(AHL)の選手の最低保障年俸は野球のマイナー最上位クラス(3A)の選手の4・3倍であることなどを引き合いに出してマイナー選手の惨状を報じたため、野球ファンの多くからMLBの冷酷なやり方に批判が出た。そのためMLBはマイナー選手の給与を上げざるを得なくなった。

■カネを生まないお荷物部門

 もっとも、マンフレッドから見れば、マイナーリーグはカネを生まないお荷物部門でしかない。給料を上げる前に大幅削減を断行。2019年にはマイナー球団が約240球団あったが、20年には162に削減され、さらに21年には120まで減らされることになった。

 その結果、22州からマイナー球団が消滅した。野球は米国の国技であり、長い間、地方文化の一翼を担ってきた。そのため地域の反発は強く、そうした声を受けて米国議会では昨年11月、106人の議員が連名でマンフレッドに再考を促す書簡を送付。当のコミッショナーは議会対策に多額の金を使ってきたことが功を奏し、反発を抑え切った。

 大きな障害がなくなったことにより、現在はコロナ禍を都合よく利用してマイナーリーグで大量の首切りが進行しているのである。

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