オリが初の6連敗…パ同一球団6連戦に現場の悲鳴と怨嗟の声
前例のない「同一球団6連戦」にパ球団が戸惑っている。
新型コロナウイルスの影響で日程に大きな変化が出ているプロ野球。特にパは移動を極力少なくするため、8月下旬までは同じ相手と同じ球場で6連戦が続く。例年なら3試合戦えば相手が切り替わったものの、当面は目の前の相手と1週間付き合わなければいけない。先週はオリックスがロッテに史上初の「6タテ」を食らったように、大型連敗・連勝がまた起こらないとも限らない。
あるパ球団のスタッフは「野球は3連戦が基本。そのことを嫌というほど思い知らされた」と、こう続ける。
「3連戦だと、まず初戦を落とさないことが大事。その上で最低でも2勝1敗で勝ち越すことがオーソドックスな戦い方です。負け越しても、『次のカードで挽回しよう』となるが、また同じ相手とでは気持ちの切り替えも難しい。ソフトバンクに最初の3戦で1勝2敗だった西武の辻監督も、次の3試合について『また一緒の相手か』とうんざりしていたでしょう。西武はその後、3連勝したからいいものの、オリックスのような惨敗はどの球団にもあり得る」
■徹底した内角攻め
初の6連戦を迎えた先週、西武は初戦で柳田、ロッテはオリックスの吉田正の内角を徹底的に攻めた。相手チームの主砲に内角を強く意識させることで、打撃を崩すという作戦だ。西武、ロッテともに初戦こそ2人に2安打ずつ打たれるも、その後、効果は表れた。柳田は5試合で20打数3安打、吉田正は21打数3安打と抑え込むことに成功した。
「CSや日本シリーズのような長丁場ならともかく、3連戦でそこまで徹底する球団は少ない。内角攻めは少し甘く入ればホームランボール。それだけのリスクを背負っても、封じられるのはその後の2試合だけで、むしろ、次の3連戦を戦う相手が恩恵にあずかる。よほど制球力にたけ、度胸も球威もある投手でなければ、そうそううまくいきませんしね。そうした常識が、6連戦だとガラッと変わる。つまり、例年とは違う攻め方が必要になるのです」(前出のスタッフ)
データ分析を担い、球団の頭脳とも言えるスコアラーも、頭を抱えている。
「3連戦だとそのカード中に、対戦相手の追加データを求められることはほとんどない。次に対戦するまでに分析すればいいし、何より追加データを活用するころには3連戦が終わってしまう。でも、6連戦だと6試合もやられっぱなしになりかねないので、従来通りでいいとはいかない。追加データも必要になる。ウチはまだ、様子見の段階ですが、いずれ『あすの試合前までに分析してくれ』と言われるかもしれない。睡眠時間を削って分析する覚悟はできているとはいえ、正直、必要な材料が少な過ぎるので付け焼き刃になりかねない。そんなものを現場に提出していいものかどうか……」