コロナ禍で露呈した正体 IOCは“世界最大のスポーツ興行主”
コロナ禍は「平和の祭典」「スポーツの祭典」と称されたオリンピックとIOCの正体を世界にさらした。IOCは、スポーツを通じた理想世界を目指す「オリンピック・ムーブメント(運動)」の推進者ではなく、「オリンピック・モーメント(惰性)」に伴う利益確保に血眼な「世界最大のスポーツ興行主」だったのだ。
これを端的に示すのがIOC幹部の言動だ。新型コロナが欧米でも感染爆発した昨年3月になって、IOCは東京大会の延期を決める。感染は世界に広がり、バッハ会長は同年5月のインタビューで中止の可能性にも言及した。
ところが、東京大会の調整委員長で、IOC副会長のコーツ氏は昨年9月、「コロナがあろうとなかろうとオリンピックを開催する」と唐突に表明した。感染収束も、ワクチン接種もない時期の発言の背景にあったのは、32年大会開催地選考だ。
コーツ氏は豪オリンピック委員会会長でもあり、豪ブリスベンは招致運動を行っていた。モリソン豪首相は昨年11月に訪日し、菅首相との同日夕の会談に先立ち、バッハ会長と会談した。IOCは今年2月、32年大会優先候補地にブリスベンを選ぶ。豪大手メディア「ニューズ」は、「モリソンとオリンピックのボスの会談が秘密兵器となった」と伝えた。