1年で退任 新鮮だったバレンタイン監督の満塁スクイズ指令
しかも、キャンプのサインプレー練習でこの状況でのスクイズについて言及されていなかった。私はたちまち緊張感に襲われた。押し出しを意識しつつ、際どいコースに来たら確実にバットに当てなければいけない。そう思って、マウンドの金石昭人の球を待った。
そこへ、ストライクゾーンに置きにきた。なんとか一塁線へうまく転がすことができ、サヨナラ勝ちとなった。
試合後、選手同士でこの場面を振り返った。「こういう作戦もあるんだな」とつくづく感心させられた。満塁で3ボールになると投手は押し出しを恐れ、全力で投げづらい。ボビーはさまざまな読みの中で、勝利に導いたのである。
しかし、チームを躍進に導いたボビーはわずか1年で解任されることになった。私も含めた多くの選手が疑問を抱いたことは間違いない。以降のロッテは2005年にボビーが2度目の監督として日本一になるまでの9年間、Bクラス生活が続いた。私自身も97年に16年間の現役生活を終えることになる。 =つづく