1年で退任 新鮮だったバレンタイン監督の満塁スクイズ指令
「オハヨウゴザイマス、オゲンキデスカ?」
明るい声が球場の通路に響き渡る。
1995年、レンジャーズで指揮を執ったボビー・バレンタインが新監督に就任した。メジャーでの監督経験者がプロ野球の監督になったのは初めてのことだった。
キャンプからチームの空気は一変した。選手やコーチ、フロントはもちろん、裏方さんとも積極的にコミュニケーションを図り、明るいムードをつくろうとしていた。それがチーム全体に活気をもたらし、選手のモチベーションアップにつながったことは間違いなかった。
当時のプロ野球は指導者の教えは絶対であり、とくに監督と選手は、気軽に口をきけない雰囲気があった。ボビーは選手の状態を把握するため、選手、コーチと対話する機会をつくり、技術に関してああしろこうしろと指導を押し付けることも全くなかった。多くの選手が新鮮に感じていた。
開幕直後の4月こそ、最下位スタートとなったが、ボビーは常にポジティブで、チーム状態は徐々に上向いていった。