著者のコラム一覧
釜本邦茂元日本サッカー協会副会長

1944年4月15日生まれ。京都市出身。早稲田大2年で日本代表入り。64年東京五輪に続いて出場した68年メキシコ五輪で得点王を獲得。銅メダル獲得の原動力となった。日本代表Aマッチ76試合75得点(B、Cマッチを含めると231試合153得点)。Jリーグ発足後はG大阪初代監督。98年に日本サッカー協会副会長。95年から参議院議員を務めた。

【サッカー】U-24日本代表のNZ戦を総括 PKにもつれた瞬間に勝利を確信した

公開日: 更新日:

 準々決勝のニュージーランド戦は延長が終わってもスコアは0-0のまま動かず、PK戦で決着をつけることになった。

 えてして実力上位国の方が「勝てる試合だったのにPK戦とは……」と重苦しい雰囲気になるものだが、個人的には120分が終わったところで「よっしゃ! 日本の勝ちや!」と確信した。

 ニュージーランドは守備も固く、攻守の切り替えも良かった。しかし、日本選手と比べて技術レベルに面で劣っており、誰が出てきても「誰かひとりは外すだろう」と思っていたからや。

 結果的に3人目のキッカーがゴール上に外したが、その前の2人目のシュートをGK谷がセーブしたことが3人目にプレッシャーを与えてくれた。

決めるべき場面で決め切る

 日本はPK戦で運に恵まれて勝ったのではない。テクニックで勝っていたからこそ勝ち切れたわけだし、堂々の準決勝進出と胸を張っていいだろう。ただしーー。

 決定機を何度も外したことで90分での勝利から見放されたことについては、虚心坦懐に反省してもらいたい。

 前半10分、右サイドでMF久保からFW林にボールが渡り、相手GKとDFの間にグラウンダーのクロスが入った。抜け出したMF遠藤が左足を出した。フリーの遠藤の前にはゴールネットしかない。「ただ当てるだけで先制点」の場面でボールは、クロスバーの上を飛んでいった。

 後半36分、MF堂安が右サイドからクロスを放り込み、途中出場のFW上田が右足ダイレクトでシュート。相手DFのマークも緩く、上田は余裕を持ってゴール右上か左上を狙えば良かった。しかし、ゴールの真ん中に立っていたGKの正面を突いてしまった。

 決めるべき場面でゴールを決め切るーー。

 サッカー界の金言である。相手が格下であっても、何度も好機を逸しているうちに試合の流れを持っていかれ、ラッキーパンチを食らって負けることは、どのレベルの試合でも起こり得ること。

3日のスペイン戦は…

 実際、延長前半13分には、日本ゴール前のフリーの選手の足元にボールが入って「シュートを打たれたら失点」という場面があり、延長後半3分には相手のシュートがゴール左に飛び、そこにDF吉田がいなかったら失点という局面もあった。

 敗退の可能性もあったが、それでも日本の選手たちは、本当によく頑張ったと思う。試合を重ねるごとに一体感というのかな、攻撃と守備の選手たちの信頼感が増し、プレーの連動性もスムーズになってきている。

 スペイン戦は3日の午後8時にキックオフされる。欧州の強豪に臆することなく、持てる力をフルに発揮して決勝に駒を進めてもらいたい。そのためにも……シュート練習はしっかりやってもらわんといかんな(笑い)。

(構成・日刊ゲンダイ編集部)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド