日本ハムに知将名将はいらない!新庄剛志氏を新監督に仰天招聘、人気を重視した球団の計算

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 悪い冗談と思った向きもあるかもしれない。

 24日、複数のスポーツ紙が示し合わせたように報じた日本ハムの次期監督人事のことだ。すでに退任の決まっている栗山監督の後釜はOBの新庄剛志氏(49)、GMにはやはりOBの稲葉篤紀氏(49)が有力だという。

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 先の東京五輪で野球日本代表の監督を務めた稲葉氏のGM就任はともかく、びっくり仰天、ひっくり返りそうになるのは新庄氏の監督招聘だろう。

■タレントのイメージ

 新庄氏といえば、テレビのバラエティー番組に引っ張りだこ。昨年は48歳にしてプロ野球挑戦を公言、実際にトライアウトを受験したものの、野球界OBというよりタレントのイメージが強い。資産管理を任せていた知人に約22億円をだまし取られて、バリで節約生活を送っていたことがテレビで放映され、話題を呼んだほど。人気や知名度はバツグンだけれど、よりによって……と思いたくもなる。

2023年に開場する新球場の顔に

「日本ハムの狙いはまさにそこ。新庄の人気と知名度だと聞きました」と、OBのひとりがこう続ける。

「2003年オフ、大リーグのメッツから日本ハムに移籍。ガッツあふれるプレーと派手なパフォーマンスで、翌04年に東京から本拠地を移した日本ハムが北海道に定着する立役者になった。06年には44年ぶりの日本一に貢献しています。その人気や知名度は特に北海道で健在ですからね。日本ハムは北海道北広島市に新球場を建設中、23年に開場しますが、観客動員数が年間200万人に達したのは現エンゼルスの大谷がいた17年が最後。チームの成績も19年から2年連続5位、今年も最下位争いとふるわず、観客動員は苦戦しています。新庄には新球場の顔としての期待が寄せられているのです。そもそも日本ハムの監督人事は親会社の意向が強く反映される。親会社の商売上、主婦のウケが良く、ソフトで、さわやかなイメージの人を監督にしている。ヒルマン、梨田、栗山しかり。新庄も、その路線で白羽の矢が立ったのです」

 人気や知名度やイメージを重視したうえでの人選というのだが、新庄氏とは、いくらなんでも大胆過ぎやしないか。指導者経験のなかった栗山監督にしても、野球評論家でありキャスターとして球界と密接な関わりがあった。新庄監督で、低迷するチームを立て直せるのか。

「いや、これまでプロ球界と無縁だった新庄だからこそ適任と言えるのではないか」とは、別のOB。

「日本ハムはドラフトと育成を2本柱に、フロント主導のチームづくりをしている。現場の指揮を執る監督に編成権まで与えてしまうと、ときの監督によってコロコロと方針が変わる。一貫したチームづくりができないからです。なのでドラフトや育成やトレードに、監督が口をはさむことは皆無に近い。それどころか選手起用や戦術に至るまでフロント主導で行われるケースもある。スコアラーだけでなく、フロントにはアナリストがいて、彼らが過去のデータからはじき出したものも現場は採用していますからね」

■日本ハムには「知将」や「名将」はむしろ邪魔

 日本ハムは日本一になった16年以降、5位、3位、5位、5位ときて、今年は24日現在、最下位。「ここ数年はドラフト戦略の失敗」(前出の別のOB)で低迷しているものの、16年までの11年間はこの手法でリーグ優勝5回、日本一に2回なっている。フロント主導のチームづくりが奏功しているのだ。

 08~11年の4年間、チームの指揮を執った梨田元監督は「この球団はなんだって、オレが使う選手ばかりトレードに出すのか……」とボヤいたそうだが、「梨田さんが特定の選手ばかり使うから、若手が育たない。そう判断したフロントは、あえて梨田さんがこだわる選手を放出、あいたポジションに育ち盛りの若手をはめ込んで起用したのです」とは前出のOBだ。

 戦術や選手起用に一家言を持つ指揮官では、そうはいかない。フロントの方針に納得せず、火種になるのは火を見るより明らかだ。多くのメジャー球団にも似た、日本では独自のチーム編成、運営をする日本ハムにとって、「知将」や「名将」の類いはむしろ邪魔。球界から離れていた新庄氏だからこそ、新たな指揮官にふさわしいと判断したようなのだ。

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