日本ハム中田翔「暴力事件」一部始終とその深層 後輩投手の顔面にこうして拳を振り上げた

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 同僚選手への暴力を理由に球団から出場停止処分を受けた日本ハム中田翔(32)は、7月30日に第4子となる次男が誕生したばかりだった。自身のインスタグラムではその乳児の写真とともに「また天使が産まれてきてくれました!!」「パパもっと頑張ります!!」「腰痛いとか言うてられへんわ!!」などと喜びを投稿。蛮行に及んだのはそれからわずか5日後のことだった。

■吹っ飛んだ被害者投手

 事情を知る球界関係者がこう言う。

「4日に函館で行われたDeNAとのエキシビションマッチの開始前のことです。被害にあったのは、20代のA投手。ベンチ裏で最初はなごやかに話をしていたものの、突然、中田が激高してAの顔面を殴り、続けざまに胸付近も殴打した。ふっ飛んだAが壁に腰を強打し、予定されていたその日の登板を回避せざるを得ない状況になったといいます。それで、チーム関係者の知るところとなった。もともと、Aは中田の子分で、しょっちゅう食事や飲みに行っていた間柄でした。しかし、一軍でそれなりの実績は残しているものの、このままでは現状維持の状態から抜け出せないと、最近になって中田と距離を置き始めていたと聞きます。中田からすれば、今まで散々、飯を食わせて、酒を飲ませてやったのに、なんなんだという不満があったみたい。それが暴発してしまったようです」

 4日の試合中に暴行問題が発覚し、先発出場していた中田は1打席に立ったところで交代を命じられ、球場から退場させられていた。

■「栗山監督が甘やかしたツケ」

 11日に一軍・二軍すべての試合の出場停止処分を下した日本ハムの川村浩二球団社長は、会見で「暴力はいかなる社会であれ、決して許されるものではありません。ファン、関係者の皆さまにご心配やご不快な思いをさせ、深くおわび申し上げます。申し訳ございません」と頭を下げた。チーム内には、「出場停止処分の後には解雇が待っているのではないか」と動揺が走っているが、「それもこれも、これまで中田を甘やかしてきた栗山監督(60)と球団の責任ですよ」との声も小さくない。

トラブルの歴史

 中田はアマチュア時代からその“ヤンチャ”ぶりが知られていた。大阪桐蔭時代は「気に食わない先輩を乾燥機に叩き込んだ」と、自分でも認めている。2007年に高校生ドラフト1位で日本ハムが4球団競合の末、当たりクジを引き当てた際は、他球団のスタッフから日本ハムの職員が「ご愁傷さま」と同情されたほどだった。

 その懸念通り、騒動を起こすこともしばしば。ルーキーイヤーの08年春季キャンプでは、連日の取材攻勢にストレスがたまっていたのか、宿舎の窓から持参したエアガンで報道陣を狙撃。幸い、誰にも当たらなかったからよいものの、当時中田の面倒を見ていた球団スタッフは「手に負えない」と嘆き節だった。

 その後も二軍では寝坊、遅刻の常習犯。痛いかゆいと訴えて練習をサボることも珍しくなかった。1年目に左手首を骨折した時も球団は当初、「またいつものウソか」と信じなかったくらいだ。

 11年には先輩の鵜久森と衝突。試合後、用具の片付けをめぐって3学年上の鵜久森と一触即発となり、「誰に口利いてんだ。殺すぞ」と激怒する先輩に、「殺してみい、コラ」と応戦した。

 試合で活躍できないとふてくされ、今年4月は三振直後にベンチでバットを破壊。すると翌日、右目に青あざをつくってグラウンドに現れた。栗山監督は「転んだ」と説明したものの、「夜の街でトラブルを起こしたんじゃなければいいが」ともっぱらだった。

「とにかく栗山監督は中田に甘い。報道陣には怒りを口にしても、実際はなだめ、すかしているだけ。本人に面と向かって厳しく言ったという話は聞いたことがない。コロナ前は、若い選手を連日のように朝まで連れ回していたが、その悪影響を認めながらも、栗山監督も球団もほとんど注意をしなかった。以前はダルビッシュや稲葉など厳しい先輩がいたのでバランスが取れていたが、いずれもチームを去った。今や野手最年長で、中田に物申せる人物は皆無。交友関係を巡ってNPBから事情を聴かれることもあったが、栗山監督も周囲も見て見ぬふりという感じ。周囲から『大将』なんて呼ばれてその気になっているけど、実際は単なるお山の大将であることに気付いていない。後輩を小突く、罵倒する、突き飛ばすなどはしょっちゅう。中田自身は冗談のつもりでも、やられた方はそうは思いませんよ」(球団OB)

 問題児を増長させた方の罪も重い。 

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