渋野日向子も避けて通れない過酷な米国のゴルフ環境 試合ごとに芝への対応が求められる
そして何よりも、米国の会場で日本人プロが最初に面食らうのが芝の違いだ。フェアウエーにボールがあっても、粘りが強い芝だと抵抗が強くてヘッドが振り抜けず、思いもよらぬトラブルに見舞われる。地域によって寒地向け、暖地向けと芝質が変わり、試合ごとに芝の対応が求められる。
日本のフェアウエーはコーライ芝で、ボールが浮いている。プロにはティーアップしているのと同じ好条件だ。ところが葉先の柔らかい米国の芝はフェアウエーでもボールの4分の1が沈んでしまう。
「渋野は昨年国内で2勝しましたが、米女子ツアーフル参戦1年目は初めてプレーする地域のコースも多く、アイアンで苦労すると思います」とスイング理論に定評のある小暮博則プロがこう解説する。
「渋野は手が長く、ハンドダウン、フックグリップです。構えた時点でコックができており、本来なら高い位置にアップライトにクラブを上げるのに向いているアドレスです。しかし、ハンドダウンからフラットに上げるとフェースが開きやすくなります。それを防ぐため左手首を掌屈してフェースを閉じて上げているのですが、インサイドからアッパーに打つティーアップしたドライバーならそれでも問題ありません。しかし地面にあるボールを打つアイアンショット、とくにつま先上がりのライでは引っかけのミスが出やすく、つま先下がりではシャンクが出るなどボールコンタクトが難しくなります」